TAM / SAM / SOM(市場規模の三層構造)とは
TAM・SAM・SOMは、スタートアップが市場の大きさを示すときによく使う3つの指標です。
それぞれ、対象市場の大きさを「全体 → 対象 → アプローチ可能」という段階で示すもので、ピッチ資料や事業計画書において、ビジネスのスケール感や現実的な成長見込みを伝えるために使われます。
目次
TAM(Total Addressable Market)
TAMは、理論上そのプロダクトやサービスが獲得できる“市場全体”の規模を示します。
たとえば「日本の飲食産業全体の市場は○兆円」など、その領域の最大の市場ボリュームを意味します。実際に参入可能かは別として、「この課題がどれだけ大きな市場に存在しているか」を示すための数値です。
SAM(Serviceable Available Market)
SAMは、TAMの中で“自社のサービスが実際に提供可能な対象市場”を指します。
業種や地域、ビジネスモデルなどをふまえて、現実的に狙いうる範囲を絞ったものです。
たとえば「日本国内の中小飲食店に限定したテクノロジー市場」といった形で、実務的な観点から算出されます。
SOM(Serviceable Obtainable Market)
SOMは、SAMの中でも“現時点で自社が実際にアプローチできる市場規模”を指します。
自社のリソース、営業体制、競合の存在などを踏まえて、「むこう数年で現実的に獲得可能な規模はどれくらいか」を見積もるのが一般的です。
投資家にとっては、ビジネスの実行可能性や事業計画の妥当性を判断するうえで、SOMの設定が重要な評価ポイントとなります。
なぜこの3つが重要なのか?

TAMだけが大きくても、実際に狙える市場(SAMやSOM)が小さければ、スケーラビリティに疑問が残ります。逆にSOMが明確で説得力があれば、「着実に成長しながら大きな市場を目指せる」ことを示せます。
TAM/SAM/SOMは、スタートアップの「夢」と「現実性」のバランスを示すフレームワークなのです。