スタートアップとは?特徴や注目される理由を解説

目次

なぜ“スタートアップ”という言葉が使われるのか?

ここ数年、日本のビジネスや政策の現場で「スタートアップ」という言葉を目にすることが増えています。以前から「ベンチャー企業」という表現が広く使われていますが、それとは異なる意味合いや文脈で「スタートアップ」が使われるようになってきました。

「ベンチャー企業」という言葉は和製英語で、日本では1990年代以降、「新しい挑戦をする企業」や「技術系の新興企業」などを指す用語として広く使われてきました。

一方で、スタートアップという言葉は、グローバルなビジネス環境や投資トレンドの中で、より短期間での成長やイノベーションを重視する企業を指す語として使われています。

特に国内では、政府が2022年に発表した「スタートアップ育成5か年計画」により、スタートアップが国家戦略の柱として位置づけられ、ユニコーン企業の創出や投資額の拡大が強く打ち出されています。こうした政策を背景に、「スタートアップ」という言葉が報道や支援制度を通じて広がっています。

日本では両者の明確な線引きはされていませんが、投資や支援の現場では“スタートアップ”という言葉があえて使われるケースが増えています。

本記事では、ベンチャー企業の文脈も踏まえながら、スタートアップという言葉に込められた特徴や考え方を紹介します。

スタートアップとは?

スタートアップとは、単に新しく生まれた企業というだけでなく、短期間での急成長を狙い、スケーラブルなビジネスモデルを構築することで、IPOM&Aといった出口戦略を見据える企業のことを指します。

「スタートアップ」という言葉はもともとアメリカで生まれた表現で、シリコンバレーを中心とするテクノロジー系企業の急成長を背景に広まりました。資金調達や成長スピード、イグジット戦略といった観点で、従来の中小企業とは異なる企業形態として注目されるようになったのです。

経済産業省の2025年の資料では、スタートアップの定義として以下の3点が挙げられています。

・新しい企業であること
・新しい技術やビジネスモデル(イノベーション)を有すること
・急成長を目指す企業であること


出典:経済産業省「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する」2025年2月

このように、スタートアップは“ただの若い企業”というだけではなく、成長性・再現性・社会的インパクトを重視した設計を持つのが特徴です。

スタートアップはベンチャーと何が違うのか?

スタートアップの定義や特徴については先に述べた通りですが、日本では「スタートアップ」と「ベンチャー」という言葉が混在して使われているのが実情です。

もともと「ベンチャー」は和製英語として普及し、1990年代以降、「新しいことに挑戦する企業」や「技術系の新興企業」を指す言葉として広く使われてきました。現在も、「創薬ベンチャー」や「メガベンチャー」といった表現も使われています。

一方で、スタートアップはその中でも、特に短期間での急成長やイノベーション、明確な出口戦略(IPOやM&A)を志向する企業を指す概念として位置づけられています。つまり、スタートアップはベンチャー企業という広い枠組みの中に含まれつつも、明確な特徴と戦略性をもった企業として区別されるケースが増えているのです。

また、投資の分野では今でも「ベンチャーキャピタル」や「ベンチャー投資」といった言葉が一般的に使われています。これらは「スタートアップ投資」と意味が重なる部分もありますが、用語としての使い分けは文脈によって異なります。

このように、「スタートアップ」と「ベンチャー」は完全に別のものというより、重なり合う領域を持ちつつ、場面や目的に応じて使われているのが日本における実情です。

なぜスタートアップが注目されているのか?

スタートアップが注目される背景には、ビジネス環境の変化、政策的な後押し、そして社会課題の多様化があります。

なかでも次のような特徴が、スタートアップを特別な存在として際立たせています。

  • ベンチャーキャピタル(VC)からのエクイティファイナンスによる資金調達
  • 数年以内のイグジット(IPO/M&A)を想定
  • 初期は赤字を許容してでもPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を最速での実現を目指す
  • 技術革新や社会課題の解決といったミッション性

このような特徴をもつスタートアップは、投資家や行政、そして人材からも注目を集める存在です。

スタートアップの特徴とは?

スタートアップとはどのような企業を指すのか——。注目される背景だけでなく、スタートアップには共通するいくつかの特徴があります。

スタートアップは、従来のベンチャー企業や新興企業と重なる部分もありますが、短期間での成長や明確な出口戦略を志向する点などで、異なる点が見られます。

ここでは、ビジネスモデルや資金調達、組織体制など、スタートアップに見られる代表的な特徴を紹介します。

観点スタートアップの特徴
目的短期間での急成長と明確な出口戦略
モデルスケーラブルで再現可能なビジネスモデル
資金調達エクイティ中心(VC・エンジェル投資家など)だが成長とともに融資も選択肢に入る
組織設計イグジットを前提とした経営体制
社会的役割社会変革・イノベーション・グローバル展開などの志向

まとめ:スタートアップという言葉をどう捉えるか

スタートアップは単なる企業分類ではなく、成長への姿勢や戦略のあり方を示す考え方ともいえます。

近年では行政支援や投資の枠組みにおいても「スタートアップ支援」という表現が使われており、ベンチャー企業や中小企業とは異なる支援対象として位置づけられることもあります。

自社のビジョンや成長戦略に照らして、「自分たちはスタートアップなのか?」という問いを立ててみることも、今後の方向性を考えるヒントになるかもしれません。

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